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2015年12月の1件の記事

2015年12月19日 (土)

人間における勝負の研究 - 米長 邦雄

ge米長 邦雄(よねなが くにお)
1943年、山梨県生まれ。中央大学経済学部中退。13歳で佐瀬八段に入門。73年、棋聖戦で初タイトルを獲得。以後、棋王、王位を獲得。その棋風と人柄により、さわやか流と評される。本書は、棋盤での一手の決断に、人生のそれに通じるものを見いだしている。

Yonenaga

まえがきより

この本は、”女神に好かれる”ための基礎編だったのです。

一つひとつの勝負に勝つことも大切ですが、その集積が人生における最終的な勝利に直結するとは限らないからです。そして、それを直結させるには、「さわやかに勝つ」ことが大切になのではないかと、私は信じているのです。

1章 さわやか流の勝負観
「確率」「勢い」「運」の三要素をどう考えるか

不可解な「力」を感じたとき、人間の対応には、二つのタイプがあるようです。一つは、そういうわけのわからない「力」は、偶然の産物であって、それについて考えたり、思い悩んだりするのは馬鹿げているとして、これを無視したがる人。もう一方は、無視しない人。・・・
私もそのうちの一人で、将棋を指しながら、あるいは将棋で勝つために、どうすれば、こういった「力」を自分に使えるかを考えてきたわけです。

実力がぜんぜんないのに、運やツキのことばかり考えていて、それに頼ろうとしても、成功するはずがないのは当然です。

不可解な世界に踏み込んだとき、判断基準となるのは、自分の人生観、自分の出発点である体験です。

そのタイミングではない時に、じっと我慢するのも「勢い」であるわけです。

「では、いったいどうすればその運をつかまえられるのか」なわけです。そして、それを一言で言ってしまうと、自分の利害にはたいした影響のない勝負で、必死に頑張ることです。

いわゆる「この一番」というのは、必ずしも「でかい勝負」ではない

2章 集中力をどう持続するか
私が自らを鍛えた勉強法

(二段に昇るためには)初段の肩書きで、三、四段の手をさせなければダメなのです。

他人の将棋を勉強したところで、その人の水準にしか達っしないのではないか。その人の水準を越すためには、自分の独創で指すしかない

私は「急がば自分で考えろ」だと思っています。

カンというのは、ものすごいスピードで考え、読み切った結果として生じるもの、あるいは読み切るというよりも、読まずに済むところは読まないで済ますことです。

「こんなものが一目でわからなくて、どうするんだ」という会話をよく耳にしますが、将棋ではその”一目”を重視するのです。

第一感で指した手が本当に最善手かどうかを、対局後に、鼻血が出るほど考え抜くことが大切なのです。

3章 非常に徹する勇気が必要
勝利の女神は、どんな男に微笑むか

「チャンスの女神は前髪が垂れていて、後ろには髪がない」

こういう(死に物狂いで戦った)勝負をやると、きっと報われる。その場で報われるか、次の年に報われるかわからないけど、必ず報われるものなのです。

4章 ただ勝つだけでいいのか
一流になれるか否かの分かれ道

覚えておくというだけでは、プロ将棋の場合、あまり役に立たないのです。他の棋士の将棋のある局面を必死に覚えるということは、精いっぱいその棋士についていくというだけのこと。その程度のレベルでは、新手は絶対に出てこない、と言ってさしつかえないのです。

一番大切なものはカンだ、と私は思っています。カンというのは、努力、知識、体験といった貴重なもののエキスだからです。その人の持っているすべてをしぼったエキスです。

勝つための方法と強くなるための方法は、まったく異なるのです。

5章 強者は泥沼で戦う
勝負に勝つ二つの心得、「雑の精神」「省の精神」

強い人ほど、どこで形勢に差がついたかを、序盤の早めのうちに発見します。

この局面ではこの手でなくてはならない、という研究の仕方は頭を硬直化させる、と私は思うのです。

序盤で私が一番重視するのは何かと言いますと、自分のほうが決定的に悪くなるかどうかを見極めることです。こう指してもよし、ああ指してもよし。だけど、この手を指したら負け、という境界を知ることで、これも1章で述べた許容範囲ということです。

強い棋士なら、序盤や、中盤の早い時期にパターンから外してしまうこともできるのです。というより、むしろ、強い棋士ほどパターンから外れて戦おうとします。

「弱い者は結論を先に出したがる」というのは勝負の金言であり、鉄則です。

6章 逆転のテクニック
一気に浮上するためには、どう辛抱するか

形勢が不利な時に、妙案のつもりでおかしなことをやっても、たいていは墓穴を掘ることになります。

嫌な仕事を一生懸命にやりながら、自分のしたい仕事に対する準備を、万端、整えておくわけです。この二つともやらない人は、人生に失敗する危険性が多々あるのではないでしょうか。

一度ミスをしたら引き返せばよいのですが、人間というのは一回ミスをすると、引き返せなくなる。

カンが狂っているから、負けがこむ。・・・そのカンを正常に戻すことが何よりも大切で、そのための手当てが必要です。

その人との付合いが私の将棋にマイナスになると思ったら、断乎、付合いを止めます。

7章 男らしさとは何か
さわやかの原点は、他人に”借金”をしないこと

私の考えでは、男らしさとは大局観だということになります。・・・男らしさとは”理性”と”思いやり”です。

男というのは貸し方に回るか、借り方に回るかということが、ひじょうに大事なことだと、私は信じています。・・・何も大金持ちにならなくても、ほんのささやかなゆとりがありさえすれば、貸し方に回れるはずです。

どこまで我慢できるかが一つの男らしさの指標になるはずです。・・・一言で言うと「恨まず」ということになります。

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