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2011年12月31日 (土)

五輪書 - 宮本武蔵 (火・風・空之巻)

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<宮本武蔵肖像>

火之巻


・・・一人で十人に勝つ道理も、千人をもって万人に勝つ道理も、何の違いもないのである。

・・・自分こそが道を極めるのだと、固く決意して、朝に夕に鍛錬して、武芸を磨きつくしてのちに、ひとりでに自由に動き、おのずから特別な力量をさずけられ、不可思議と思えるほどの神通力を持つことができるようになるのである。

場の次第ということ
 その場の状況を見分けることが大切である。たとえば、戦う場所において太陽を背負って立つという原則がある。・・・難所においては、敵に場を見せるなといって、敵に顔を動かして周囲を見る余裕を与えず、油断なく追いつめていくのである

三つの先ということ
 一つは、自分のほうから敵へかかっていく場合の先手の取り方、これを「懸の先」という。
 一つは敵から自分のほうへかかってくる場合の先手の取りかたで、これは「待の先」という。
 一つは自分もかかっていき、敵もかかってくる場合の先手の取りかたで、これを「体々(たいたい)の先」という。

枕をおさえる
敵が打とうとするならば、その「う」という字のかしらをおさえて、後の攻めを許さない呼吸

渡を越す
難所を乗りきる

剣を踏む
体、心、太刀で踏みつけて、二度目を敵に打ち出させない

崩れを知る
崩れる間を取り逃がしては、また盛り返すこともある

四手をはなす
互いに張り合う状態から、これまでのいきさつを捨てて、敵の意表を突く

陰を動かす
敵の心がわからないとき、強くしかけるように見せて、敵の手段を見破る

移らせる
眠りやあくびなども移り、ときが移るということもある。ゆったりと構えて、敵のたるむ瞬間をとらえて、強く速く先手を取って勝つ。酔わせるといって、これに似たことがある

角にさわる
敵の体の角に傷を負わせると、その体が次第に弱まっていく

山海の変化
同じことを二度するのは止むを得ないが、三度とするものではない。敵が山と思えば海としかけ、海と思えば山と意表をついて仕掛ける呼吸

鼠頭午首

そとうごしゅ。些細なことに気を取られている状態から、がらりと大局をみる大きな心になって、大が小にとってかわること

将は卒を知る
自分の敵であるものを、すべて自分の部下と考え、自分の意図のままに従わせることができるものと心得、敵を自由にあやつる。我は将であり、敵は卒である

つかをはなす
無刀でも勝つ呼吸があり、太刀を持ちながらも太刀では勝たない法もある)

巌(いわお)の身
ものに動ぜぬ心、ものに動ぜぬ姿勢

風之巻

・・・長さに頼って遠くから勝ちを得ようとするのは、心の弱さのあらわれである。・・・自分の二天一流においては、そのように片寄っていて、器量な考えを嫌うのである

・・・昔からの先例とか、今の世の法などとして、定まった規則を作ることは、勝負の道にはあることではない

・・・構えるというのは、先手を待っている状態である。・・・したがって、自分の流儀においては、有構無構といって、構えはあって構えはないといのである。

・・・どこかに目を付けようとすれば、それに惑わされて、兵法の妨げとなるものである。・・・ものに慣れるということによって、いちいち、目で見ている必要がないのである。・・・兵法の目付けは、相手の心に付ける目こそが大切である。

・・・飛び足には飛ぶための初発の動作が必要であり、いったん飛ぶと方向を自在に変えられない・・・ふだんの道を歩むように、・・・足りなくもなく、余ることもなく、足取が乱れないようにすべきである。

・・・速いというのは、物事に拍子が合っていないために、速く見えるだけである。・・・未熟な人は、一日中走っているように見えても、そのわりには能率があがらないものである。・・・相手がむやみに速いときなどには、「そむく」といって、わざと静かになって、相手に引きずられないことが肝要である。

・・・どのような道であっても、奥から入ってもよい場合もあり、表から入ってよいこともあるのである。・・・たとえ同じ流派でも、人によってはいささか見解の相違はあるもの・・・わが二天一流においては、太刀に奥義も入口もない。構えに極意もない。ただ心をもってその特を身につけることが、わが兵法の最も大切なことである。

空之巻

 二刀一流の兵法の道を、空(くう)の巻として書きあらわすものである。
 空というのは、形がないこと、認識できないことを空とみなすのである。もちろん、空はないものである。ものがあるところを知って、初めてないところを知るのである。これがすなわち空である。

・・・本当の道を知らないあいだは、仏の道にせよ、世間の法にせよ、各人各人は確かな道を思い、よいことだと考えているが、まっすぐな心で、世の中の大原則に照らし合わせてみるときには、その人その人の主観的な判断のゆがみによって、本当の道からはずれているのである。

空には善があって、悪はない。
兵法の智があり、
兵法の利があり、
兵法の道があって、
初めて兵法の心は空である。

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