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2011年11月15日 (火)

VfBシュトゥッツガルトの教育

 他の学生スポーツと比較して、サッカーのトレーニング時間は1週間当たり11~15時間少ないという統計が出ています。しかし、移動時間等を含めると週に約65時間は学校とスポーツに時間が使われ、常に厳しいスケジュールの中で生活しなければなりません。ドイツでは、将来性ある子供が学業とサッカーを両立できるように、プロクラブと学校が提携し、少しでも時間的なストレスなどを軽減する努力がされています。しかし、多くの場合、問題は時間ではなく選手の頭の中にあるようです。現実には能力不足やケガ等でプロになれる子供はごく一握りになってしまいますが、「どうせ将来プロでお金を稼げるから、学校なんか意味がない」というような考えを持つ子供は少なくありません。

 学業とスポーツの関係を見てみると、学業の成功はスポーツの成功にも反映される(逆に悪い面も)という統計が出ています。学校で他人の邪魔をせず真面目に授業に取り組み、宿題を仕上げ、無駄な時間を作らない人は、向上心、信頼性、意志、尊敬、規律といった、サッカーでとても必要とされる要素を持ち合わせていることを証明しています。また、教養ある選手は、自立していて創造性豊かで、サッカーの世界でも高い問題解決能力が発揮され、プレーの面でも決定的な場面で正しい判断が下せる傾向にあります

 時間不足の問題は、サッカー以外の友人関係やサッカー以外への興味・関心にも影響を及ぼします。プロになるならないに関わらず、若いうちに他の分野の世界を経験したり、サッカー以外で親しい友人を作ったりすることは人間的な幅を広げる意味でも大変重要なことです。また、サッカーと異なった話題は、学校やトレーニングにおけるストレスを軽減する意味でも重要な役割を果たします

 このような不安定な時期の子供と接するコーチは、多くの問題を抱えると思います。大事なことは、全体に対して一般的な解決方法をとるのではなく、常に子供や状況にあった個別の対応をすることです。子供の話を聞いてあげること、勝利に酔いすぎず、失敗にもフェアであり続ける態度も大事なことです。コーチ自らが子供たちのお手本となり、チーム内に”フェアである”、”創造的である”、”自立している”、”規律正しい”、といったポジティヴな雰囲気を作り上げ、社会的な責任とともにサッカーに励んでいく必要があります。

VfBシュトゥッツガルト教育部長・コーチ
マルクス・リュート

Fussballtraining誌2011年8月号
インタビューより

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