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2005年10月27日 (木)

武士道を読んで 微笑み編

 もう3年くらい前になるけど、ここSaarbruecken(ザールブリュッケン)に日本人サッカー選手が何人かいるということで新聞の取材がきた。新聞には、俺たちの割と大きめなカラー写真と「サッカー選手・微笑みの国から」みたいな題で記事が掲載されていた。「微笑みの国から」というタイトルを見て「なめてんのか?」とも少し思ったけど、なかなか鋭いとこをつくとも思った。

 と昔のことを掘り出したけど、ちょうど新渡戸稲造氏の「武士道」を読んだところで、しかも、今日このこと(微笑み)に関係したことをドイツ人の理学療法士の1人に質問されたのでこういう展開になった。

 新渡戸稲造、1862年、盛岡生まれ。農政学者、教育者としても知られる。札幌農学校在学中にキリスト教徒となる。1884年、東京大学を退学し渡米。1887年、ドイツのボン大学などに留学。1891年、メリー・エキルトンと結婚。
 1899年、アメリカで静養中、「武士道」を英語で執筆出版。校長、学長などを歴任した後、1920年に国際連盟事務次長となる。1926年まで国連平和に尽くし、「ジュネーブの星」と謳われた。
 1933年、カナダのバンフでの太平洋会議に出席、発病し、死去。

 新渡戸氏は老教授との散歩中、宗教の話になった。
「日本の学校では宗教教育が行われていない?宗教がなくてどうやって道徳教育ができるのか?」と言われてその時どう答えていいかわからなかったらしい。その後、いろいろ考えてみた結果、自分の善悪の判断が武士道であることにたどり着いたらしい。
 出版の直接のきっかけは、奥さんが外国人ということもあって、日本のことについていろいろと質問してきたことらしい。しかし、それを説明するには、封建制度や武士道をまず理解してもらわないといけない。ということで、それらの話や答えたものを整理したものが「武士道」となった。

 新聞の「微笑みの国」というのはどこから来たのか?ワールドカップ・フランス大会でラモスがキレテいたけど、フォワードの城がミスをしているのに笑っていたからか?見知らぬ人にでも笑顔を見せるからか? 

 まず、城がミスして笑っていた場合(城ばっかり言われてかわいそうだけど)。「武士道」の中で「武士が感情を顔に表すのは男らしくない」、「喜怒を色に現わさず」とあったけど、そこから説明がつくと思う。
 俺もあると思うけど、ミスをして笑う、苦笑いをする場合は、もちろんうれしいわけでもなく、ミスをしてあせる自分を他人に見せたくないから。動揺する自分を隠すために笑っていると思う。(もちろん、本当に楽しい笑いとか、負け犬の笑いもあるとは思うけど。)
 ヨーロッパ人はミスをした時、吼える、逆ギレといった場合が多い。その意味は気持ちの切り替え、ストレス発散、責任転嫁などいろいろあると思う。

 これはミスだけじゃなくて、例えば、怪我をした時、痛いけど痛がっている自分や痛みに耐える自分を見せたくないから笑顔でごまかすということもそうだと思う。
 でも、これが外国人に誤解される場面を見たことがある。俺の日本人の友達(バシタカ)だが、試合中に結構ひどく負傷したので監督に交代を申し出た。しかし、このやせ我慢の笑顔が出ていたため、監督には「痛いのに何で笑ってんだ?」、「笑ってるくらいならまだできるだろう」と解釈されてその後しばらくプレーしていた。

 2つ目の見知らぬ人にも笑顔を見せる場合。今日、理学療法士に質問されたこと。これは別に日本人じゃなくてもやると思うけど、時には外国人にとっては必要以上の笑顔にうつって、その裏に何か意味があるのかと不思議・不安になると思う。
 このことは、武士道の「礼儀」から言えると思った。礼儀は「他人の感情を察する同情的な思いやりが外に表れたもの」、礼が要求するものは「悲しむものとともに悲しみ、喜ぶものとともに喜ぶこと」とあった。
 だから、この場合の笑みは初対面の相手が不安がらないように気遣って、「俺たちはフレンドリーだ」、「敵じゃねーぞ」とアピールしている部分があると思う。プラス、自分自身が緊張していて、その緊張を隠すための1つ目の笑みの場合もあるかもしれないけど。でも、時として、外国人にはこれが裏目に出て、その気遣いの笑みがヘンに理解される可能性もある。

 笑みは、武士道の中では付属的なところだったけど、普段の生活でもサッカーの中でも、日本人らしい特徴のひとつだと思った。

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